木行の干のことを『曲直』とも申します。陰干の乙は曲がりくねりながら育つつる草に例えられるため「曲」であります。
乙の性状
乙は甲とともに十干の中で命を持つものに例えられる干なので、まず地支に根があるかどうかが重要です。
乙は甲より根のあるなしの影響が顕著で、命式内に根がないと性格の伸びやかさが削がれます。
乙はつる草に例えられはしますが、性質は甲の「樹木」に対してだとつる草に限らず「草花」に近いです。
環境適応力が高い
乙は十干の中では他の干にあまり影響を与えない弱い干ですが、「草花」として考えると雑草がどこにでも生えてくることから融通性があって置かれた環境になじみやすいところがあります。
ただし、巡る運などで根こそぎやられるとそれきりになってしまう危うさもあります。
援助者に頼りすぎることがある

つる草はそれだけでは天を目指して伸びることができませんが樹木に絡まることで天に向かって伸びることができます。それゆえ日主が乙の命式は援助者の甲が隣接することを好みます。
しかし、つる草の勢いが強すぎると木が弱り、時には枯れてしまうことがあります。このことから援助者に頼りすぎて相手を困らせてしまうことがあるとみます。
情報収集能力の高さ
一度そこに根を下ろしたら動かない樹木と違って草木はあらゆる方向に伸びます。それは多方向にアンテナを伸ばす情報収集能力の高さにつながり、好奇心が旺盛な面があります。
ただし、乙の根が強く制するものがないときは余計なことに首を突っ込みたがる傾向が出てきますし、天干に乙が重なって傷の無い根があると雑多な情報を整理できずに混乱しやすくなります。
自然体が一番
草花が花を咲かせるのは子孫を残すためですが、その花を見て人はきれいだな、美しいなと感じます。どんなに美しい花を咲かせてもそれを美しいと思ってくれる人がいなければ意味がありません。
乙は一人ぽつねんと孤立するのが苦手ですが、人なかで自分をよく見せようと作ってしまうと期待するほど注目されず、何の意図もなく自然にしていると思いがけず評価されるところがあります。
乙と季節(月支)の関係
甲は木行ですから、春月の寅・卯・辰を旺とみます。乙は水の印との関係が大切です。
春月(寅・卯・辰)生まれ
春の草花は適度な水(印)と光(丙)があり、根に傷がなければベストです。
春の乙はむやみに剪定(庚・辛)せずにおくのが基本ですが、傷のない根が重なったり天干に乙が重なる場合はその限りではありません。
春は草花にとって成長期なので、天干に乙が重なり地支に傷のない根があるとあつかましくてウザイ面が出て来やすいようです。
夏月(巳・午・未)生まれ
夏の乙は水の印を欲しがります。命式に水気がなくて乾いていると早くに母親と離れる・精神的に母親にべったり・自分に利することばかり考える などの傾向が出て来やすいようです。
夏生まれで根があり、命式に傷のない水(天地ともに)があれば人目を引く魅力があります。
秋月(申・酉・戌)生まれ
秋の草花は花も終りこれからぐんぐん伸びることはありませんが刈られてしまうのを嫌がるので金の気を恐れます。
花が終わった草花ですが種が乗っているかもしれません。種が乗ったものはもうしばらく刈らずに置きたいです。種を草花が生む子と見て食傷(丙・丁)があれば金の気の尅をそらすことができます。
冬月(亥・子・丑)生れ
冬の草花は春を待つのみです。冬場に水を与えても育ちませんからなによりも丙の照暖が必要です。
四柱推命は日主と命式全体の兼ね合いで読み取っていきます。同じ干でも隣に何があるか、どんな大運がめぐっているかで性状の表れ方が異なってきます。
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